「まっとうな経済学」 ティム・ハーフォード 8

経済的厚生は

人造資源
道路、工場、機械、電話システム:
人的資源
勤勉、教育:
技術資源
技術的ノウハウ、ハイテク危機:

だと考えられている。

確かに豊かな国にはこれがあり、貧しい国にはこれがない。しかしそれだけでは十分でない。

「貧しい国は過去100年のうちに追い着いているはずだ」という説。
貧しい国への投資は効果が最大になる。豊かな国は投資してもそれほど効果がない。これを収益逓減と言う。台湾・韓国・中国を見ると、これは正しいようにみえる。しかし、貧しい国の成長率は豊かな国を下回ってることが多い。そこで経済学者は収益逓増も組み合わせたモデルも考えた(電話は他の人が電話をもっていれば役に立つ、等)。今度は、逆に台湾・韓国・中国の存在が説明できない。そのうえ収益逓増モデルですら貧困化は説明できない。

政府盗賊理論

マンサー・オルソン「政府は盗賊である。経済成長の点からみると、安定した独裁政権は民主主義より悪く、無政府よりはマシ。」

安定した独裁政権は、盗むものがなくなってしまうので、国民に新たに生産させることできるギリギリまでしか奪わない。だから一過性の独裁政権よりマシである。ただし、それでも害悪である。収奪される可能性が高いので、投資は行なわれず成長もない。
いたるところにいる警官が賄賂をせしめようとする。政府にはそれを規制する能力がない。警官の行為も、それをやりすごす時間も無駄である。
そして何をしようとしても手数料と膨大な手続がある。そして役人にとっては手続が賄賂のチャンスである。

経済学者は「制度が重要だ」といい続けてきた。しかし「悪い制度」を「良い制度」に変えるのは難しい。