「記憶力を強くする」 池谷裕二 1
基本的に脳細胞は増えずに減ってく
脳の構造や神経細胞の並び方には個人差は無い。神経細胞の数は減っていく。1秒1個ぐらい死んでいき、70歳までには5%ほど減ってしまう。減る一方なのは増殖する能力がないから。増殖して古い細胞といれかわってしまうと自分じゃなくなってしまう。神経細胞が死んでしまうことは普段は気にしなくてもいいが、重要な細胞が死んで困ることもある。記憶に関係する細胞が死ねば痴呆症(アルツハイマー等)になるし、体の運動を制御している神経細胞が死ぬと運動障害(パーキンソン病など)が起こる。だから頭への打撃・アルコール・酒・薬物は避けた方がいい。脂肪の多い食事は血管が詰まりやすくなるので避けた方がいい。脳は酸素や栄養に敏感。
一部の神経細胞は鍛えれば増やせる。
海馬は鍛えれば増える。タクシードライバーの脳はベテランであればあるほど膨らんでいた。神経細胞は20%も増量。ネズミでの実験でも確かめられた。しかも年齢には関係ない。鍛えたネズミの記憶力はあがっていた。
減る数より増やせ
海馬は側頭葉から来た感覚情報を受けとり、なんやら処理して側頭葉に返している。海馬の入口にあたる場所にいる神経細胞が増やすことができる。ただ、ここの細胞は死んでいくスピードもはやい。3ヶ月か4ヶ月も立てば完全に入れ変わる。「増殖のスピード > 死亡のスピード」なら神経細胞は増えていく。
いろんな記憶
短期記憶
7つ前後しか覚えられない。チャンク化(グループ化)で覚える量を増やせる。
情報のふるい
エピソード記憶 | 海馬 |
短期記憶 | 大脳皮質 |
意味記憶 | 海馬 |
プライミング記憶 | 大脳皮質 |
手続き記憶 | 線条体・小脳 |
海馬に記憶が留まっている期間は長くても1ヶ月。それ以上たつと違う場所に保存される。海馬は情報のふるいである。
新しいものや出来事に出会うと海馬はθ派を出す。飽きたりマンネリ化しているとθ派はでない。
ちなみに生まれたての子供には海馬は未完成。
ラットの実験
- 愛情を受けて育ったネズミは海馬が優れていた。
- ネズミが妊娠中にストレスを受けて産んだ子ネズミは海馬が劣った。
海馬の神経細胞を増やすもの
- ランニング
- 軽いダイエット
- 他人との交流(特に異性と)
- 硬い物を食べる
海馬の神経細胞を減らすもの
- 過度の飲酒
- 心身へのストレス
- 麻薬