「記憶力を強くする」 池谷裕二 2

チャネル

神経細胞は神経突起を伸ばして、他の神経細胞と繋がり神経回路を作る。神経回路と電子回路は「電気」を使っている所が似ている。電子回路は「電子」を使うが、神経回路は「イオン」を使う。生物が海に居たなごりなのか使うイオンはナトリウムイオンである。

活動電位(神経インパルス)
ナトリウムイオンが細胞外から細胞内にどっと流れることで生じる電位の変化:

神経繊維にはナトリウムイオンを選択的に通す穴「チャネル」がある。(フグ毒のテトロドトキシンはチャネルを外から塞いでしまう)

シナプス

神経繊維と神経繊維の間にはすきま(シナプス間隙)があり、ここを活動電位が「伝達」されなくてはならない。その為に化学物質が使われる。
それを神経伝達物質と言う。(アドレナリン、セロトニンドーパミン等)神経繊維で実質的に重要なのはアセチルコリングルタミン酸である。

アセチルコリンはθ派を作り出すもとになっている。グルタミン酸は脳における神経伝達の殆どを担っていて、海馬でも主要な3つのシナプス神経伝達物質としてグルタミン酸が使われている。

シナプス小胞
神経伝達物質の詰った袋。電気信号が来ると中身を放出する:

神経伝達物質の受容体は、受容体によって受けとるものが決まっている。お目当ての神経伝達物質が届くとチャネルの入口を開けてイオンが通り電位(シナプス電位)がうまれるようになっている。

100個以上のスパインがシナプス電位を作ってはじめて神経細胞は活動電位を発生させるようになっている。