「考える技術としての統計学」 飯田泰之

思考の3形式

帰納

もともと統計に向いている考え方。
統計は「たぶん」や「ほぼ」みたいな曖昧な言葉じゃなくて「95%どうだ」とか言えて便利。

演繹

前提が正しいかどうかを調べるのに統計が活躍(ミクロ実証分析など)。
結論が妥当かどうかを統計で調べて答え合わせもできる(仮説演繹法)。

アブダクション

現象を説明できるもっとも良い仮説を採用する考え方。
ここでも「どれだけ」説明できているのか、統計なら仮説のパフォーマンスがはかれる。

< http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/R/R-top.htmlハンドアウトにもに同じような話があったような >

トップダウン思考法は演繹的な手段だけど、帰納的なデータを元に決断する必要がある。直感的なひらめきだって統計で検証できる。

平均による情報縮約

主な代表値
平均値
平らにしたときの値:

外れ値があると、平均値が「ふつう」の値じゃなくなってしまう。

最頻値
もっともよく観測される範囲(の中心値):

各範囲に差がないときは、「ふつう」だといいにくい。

中央値
順位をつけたときちょうど真ん中に来るデータの値:

(代表値が「ふつう」を表現していないとき「代表性」が無い、という言い回しをする。)

大規模なデータを手軽にまとめるのに代表値が使われる。
しかし代表値はおおくの情報を捨てている。

「ふつう」が分かれば「ふつうじゃない」がわかる。

比較による状況判断

比較するには単位を揃えなければならない。

フローとストック

ストックの増加=投資=インフローーアウトフロー=(GDP+輸入)ー(消費+減耗+輸出)

経常収支=輸入ー輸出=GDP-(消費+投資+減耗)

経常収支は国内での生産と国内で使った分の差を表している。経常収支の赤字と黒字を外国のせいと考えるのは非常にまずい。

名目と実質

名目値=金額
実質値=名目値/物価指数

  • 利子率
  • 成長率
グロスとネット
  • 総資産と純資産
  • 年商と所得
比のイメージ

東京都は(平成17年)刑法犯罪認知件数日本1だが、人口辺りにすると21位。
トヨタは経常利益は凄いけど「効率的」とは限らない。トヨタは大きな会社だから。

ROA=税引き後利益/総資産
ROAの高い会社は効率の良い会社なので手本にできるかもしれない。だけど「株主」にとっておいしいかはわからない。
「株主から与っているお金」を効率的に運用しているかどうかを知るにはROEが良い。
ROE=税引き後利益/株主資本

PERは利益1人あたりの株価を表す。PERが低いと株は安く評価されている。PERが高いと株は高く評価されている。

(シャープ比の話は省略)

指数を判断に使う。

加重平均→寄与度分解

GDP

GDP=民間消費+民間投資+公的需要+海外需要

寄与度は民間消費が大きい。民間消費を伸ばせば経済成長要因になる。しかし消費は慣習やライフスタイルによって決まる部分が大きく政策にあまり反応しない(90年代に減税をしたけどダメだった。)。

海外需要は清戸は小さいが変動は大きい。だから円安は輸出増加を通して景気を改善し、円高は不況を招く。

金利→投資↑、海外需要↑(金利が低いと円安になる)、資産家・引退世代の消費↓、負債家庭の消費↓、新規労働者の消費↑(雇用機会が増える)

物価指数

物価指数も重み付き平均。
ラスパイレス価格指数の低下は「以前と同じものを買うのに少ない金額ですむようになった」という意味。

TOPIX日経平均株価

TOPIXでは、ウェイトの大きい物の値が変化すると、指数そのものが大きく変化する。景気の先行きを見るには日経平均の方がいいという意見もある。

日経平均株価は225銘柄について同じウェイトで計算する。株式総数の少ない銘柄の動きも、超大型株の値動きも同じ扱いになる。株式市場全体の状況を表す指数としては問題である。銘柄が入れかわるため、連続性がないという批判もある。