「考える技術としての統計学」 飯田泰之 6

予測できるものとできないもの。

AR(1)モデルでρがちょうど1の場合

今期の値=前期の値+今期のショック

となる。このような状態にしたがうデータはランダムウォークするといわれる。(定数がつく場合いはドリフトランダムウォークと呼ぶ)

ショックの平均値は0なので「上がるか下がるかわからない」状態になっている。「明日の株価相場が予測不可能である」という帰無仮説は棄却できないことがわかっている。「明日の株価相場が予測できる」と積極的にはいえない。

テクニカル分析の使い道

テクニカル分析は予測には使えない。ただし「何かあった」ことを知るのには役立つこともあるかもしれない。ショックの特徴を調べておいて、それと比較して異常なショックが続くようであれば、ショックの性格自体が変わったのかもしれない。異常自体の警報としてなら使える。<サーバトラブルの前兆警報として使えるだろうか?>

多変量自己回帰モデル(VARモデル:Vector Auto Regression Model)

合理的期待形成の考え方では「前もって予測されていた情報は変化をもたらさない」「予測できなかったショックのみが変化を引き起こす」ということになる。

ショックは様々な値に波及効果をもたらす。そこで多変量自己回帰モデルが有用である。

Xの値=定数+a*前期のX値+b*前期のYの値+ショック
Yの値=定数+c*前期のX値+d*前期のYの値+ショック

1970年まで経済分析の主流だった大型計算モデルと比べVAR推計は比較的単純でかつ良好なパフォーマンス(予測実績)が得られるが、次元が増えると説明変数が大幅に増えるため詳細な分析より仮説の妥当性のチェックや問題発見ツールとして利用されることが多い。

ショックに対する反応をまとめたものをインパルス反応関数と言う。
インパルス反応関数は、ショックの効果がいつ最大になり、いつなくなるのかを教えてくれる。