ミクロ経済学 戦略的アプローチ 梶井厚志 松井彰彦 5,情報とゲーム 2

シグナリング・ゲーム

  • 企業は労働者に高給4、低給1のいずれかを与えることができる。
  • 労働者の能力の高低は半々の確率で決まる。
  • 労働者の能力が高いとき6生産できるが、労働者の能力が低いとき3しか生産できない。
  • 能力の高い労働者は、「利得が3得られる別の働き口」があるために、低給を与えられると、そこへ転職してしまい、結果として企業の利得は-1になるとする。

このとき、展開図表現は次のようになる。

(能力主義ゲーム)


企業は「能力が高い人間を高給で迎え(企業の利得2)、能力が低い人を低給で迎える(企業の利得2)」のがよい。期待利得は2(=2*\frac{1}{2}+2* \frac{1}{2})である。

問題は個人の能力が企業には分からない時である。今度は次のような展開図表現に表現されるゲームについて考える。

このとき

  • 企業は高給を払うと0.5(=(-1)*\frac{1}{2}+2* \frac{1}{2})
  • 企業は低給を払うと0.5(=2*\frac{1}{2}+(-1)* \frac{1}{2})

企業は高い賃金を払っても低い賃金を払ってもよい。
もし低い賃金を払うと(能力主義ゲームと比べて)高い労働者は損をする。
また企業の利得も能力主義ゲーム2から0.5に下がっている。

  • 企業は労働者の能力が知りたい!
  • 能力ある労働者は自分の能力を知らせたい!