ミクロ経済学 戦略的アプローチ 梶井厚志 松井彰彦 5,情報とゲーム 4

さきほどの混在型の均衡には、経済的な資源の無駄使いからいって問題がある。労働者が資格をとるために労力を無駄にしている。能力の低い労働者が労力を費やしても、高い給料をもらえばわりにあってしまう所が問題である。

企業の高い方の給与を下げたら(ただし3以上)

高給に対応する労働者の利得が減る→能力の低い労働者は資格をとるメリットが、コストをうわまってしまうため、資格をとらなくなり、混合型の均衡にはならない。(搾取されるのは、能力の高い労働者)

資格試験を難しくする。

資格をとるのに、低い能力の労働者の苦労が3単位をうわまわり、能力ある労働者もいくらか労力を費やさなければならないとする。高給に対応する資格をとったときの利得が下がるので、混在型の均衡はなくなるが、高い労働者の利得は下がって、経済的な無駄も生じる

資格試験を簡単にする

誰でも資格をとれてしまうので、能力判別不能時のゲームに戻ってしまう。

まとめ

資格取得を難しくしすぎると資格に応じた給与制度は企業にとっては有用ににあるが、経済的には無駄が生じ、その分能力の高い労働者は搾取される。これは資格取得が優しすぎて能力の判別ができないよりはましなので、資格取得のコストは情報非対称性から生じた必要悪と呼べる。

補足

今回の話では給料の高低によって労働者の生産力は変化しない事を仮定しているが、労働者へのインセンティブの問題は後の章で扱う。