ミクロ経済学 戦略的アプローチ 梶井厚志 松井彰彦 6オークション 2

オークションの比較

売り手にとってどのオークションの形式が好ましいだろうか

競争入札では、1/2 max(V1,V2)が収益
競売とセカンドプライスオークションでは min(V1,V2)が収益

この場合、評価の高い額の方が、評価の低い額の2倍以上のときは競争入札がよく、そうでなければ、競売やセカンドプライスオークションがよい。

一般に、評価額が近いときは、競売とセカンドプライスオークションの方が良い。評価額が離れているときは、競争入札がよい。

ただし、売り手が買い手の評価を知らないので、この比較は役に立たない。(補論1で説明するとおり)実際は、平均値は同じでいずれも1/3となる。「商品に対する評価が個人に独立に与えられている」「商品が必ず売られる」という仮定のもとでは、ほかのオークションの方式でも売り手にとって、これ以上に平均収益を上昇させることはできない。「オークション理論における収益同値性原理」と言う。

個人価値のオークション
品物の価値が各個人に固有のもので、各個人はそれを知っており、評価の分布は独立である

オークションで購入したものを転売したとき、その利益は誰が転売してもさほどかわらないので、その価値は独立ではない上に、どれだけの利益で売れるかは分からないので「各個人はそれを知ってい」ない。

国債の新規発行では国債を競り落とした証券会社はそれを後に転売するが、国債自体はどこの会社が売っても同じ価格になるし、転売価格は競ってるときには分からない。

今回は個人の評価額の分布が独立で等しいケースを扱ったが、それ以外の場合は収益同値性は成りたたない。競売の形式が入札よりも期待収益は大きくなる場合が多い。

実際には学生で実験すると競争入札をすると、入札者が最適な戦略をみつけられないために売り手はもうかる。

「評価額は分からないが、その分布は知っている」という仮定も怪しいが、この仮定なしでいえることは、あまりわかってない。