ミクロ経済学 戦略的アプローチ 梶井厚志 松井彰彦 2 戦略と均衡

戦略形表現

戦略
選択肢の事
戦略形表現
下のような表による表現

囚人のジレンマ
第2プレイヤー
高価格低価格
第1プレイヤー高価格500,500-8000,6400
低価格6400,-8000-800,-800


キンゲーム

家事やる家事やらない
家事やる2,21,3
家事やらない3,10,0

最適反応
「xはyに対する最適反応である」とはyを固定したときに、xは最も利得が高くなるような戦略(のひとつ)である、という意味
ナッシュ均衡
「戦略の組(x,y)がナッシュ均衡である」とは、xはyに対する最適反応、かつ、yはxに対する最適反応

支配戦略

強支配
「xはyを強支配する」とは、相手のどのような戦略に対してもxがyよりも厳密に高い利得をもたらすこと
弱支配
「xはyを強支配する」とは、相手のどのような戦略に対してもxがyよりも高いか同じ利得をもたらすこと

xがyを強支配するとき、xはyを弱支配もしている。

強支配戦略
他の全ての戦略を強支配しているような戦略
弱支配戦略
他の全ての戦略を弱支配しているような戦略

支配戦略同士の組(x,y)はナッシュ均衡になる

xが支配戦略ならば,xは全ての戦略への最適反応
yが支配戦略ならば,yは全ての戦略への最適反応

強支配戦略同士の組(x,y)が存在するとき、ナッシュ均衡はその(x,y)ただ一つ

(x,y)の他の戦略は最適反応になれないから。

囚人のジレンマの例

相手が高価格の場合、自分は低価格の方が良い。
相手が低価格の場合、自分は低価格の方が良い。
このとき、自分にとって低価格は強支配戦略。
相手にとっても低価格は強支配戦略。
(低価格、低価格)は強支配戦略同士の組であるから唯一のナッシュ均衡になる。

キンゲーム
  1. 相手が家事やるとき、自分は家事やらない方がいい。
  2. 相手が家事やらないとき、自分は家事やった方がいい。
  3. 自分が家事やらないとき、相手は家事やった方がいい。
  4. 自分が家事やるとき、相手は家事やらない方がいい。

1,2より自分には支配戦略はない。
3,4より相手には支配戦略はない。
しかし
1,3より(家事やる、家事やらない)はナッシュ均衡である
2,4より(家事やらない、家事やる)もナッシュ均衡である

ナッシュ均衡の戦略が支配戦略になるとは限らない

別の例


弱支配されている戦略がナッシュ均衡で用いられている例

第2プレイヤー
LR
第1プレイヤーT1,10,0
B0,00,0

  1. P2がLのときP1はTが最適戦略
  2. P2がRのときP1はT,Bが最適戦略
  3. P1がTのときP2はLが最適戦略
  4. P1がBのときP2はL,Rが最適戦略

1,2よりTは弱支配戦略
3,4よりLは弱支配戦略
1,3より(T,L)はナッシュ均衡
2,4より(B,R)はナッシュ均衡

B,Rはナッシュ均衡に用いられている戦略だが弱支配されている

ナッシュ均衡の戦略は弱支配される事もある